ずんだもんと学ぶアナログ回路

第5回

ソースフォロワとゲート接地:3つの基本増幅回路

アナログ回路入門シリーズ第5回です。増幅回路に負荷をつないだら利得が激減……その対策として、ソースフォロワとゲート接地を見ていきます。

どの端子に入れてどの端子から出すかで、増幅回路の性質は大きく変わります。ソースフォロワの大信号特性と小信号利得(基板バイアス効果で1より下がる理由)、出力抵抗≈1/gmとバッファとしての役割、ゲート接地の入力抵抗と利得を、回路図の変形とテスト電源で求め、3つの基本増幅回路を比較表にまとめます。

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  • 四国めたん(解説)
  • ずんだもん(質問)

1導入:負荷をつないだら利得が激減?

ずんだもん

実験がピンチなのだ!増幅回路に負荷をつないだら、利得がガクッと下がったのだ。

動画の画面(「実験がピンチなのだ!増幅回路に負荷をつないだら、利得がガクッと下がったのだ。」の場面)
図 1

四国めたん

これまでの回路は、どれもゲートに入れて、ドレインから出していたわね。

動画の画面(「これまでの回路は、どれもゲートに入れて、ドレインから出していたわね。」の場面)
図 2

四国めたん

どこに入れてどこから出すかで、性質は変わるの。今日は3つの基本増幅回路を比べましょう。

動画の画面(「どこに入れてどこから出すかで、性質は変わるの。今日は3つの基本増幅回路を比べましょう。」の場面)
図 3

ずんだもん

よろしくなのだ!負荷をつないでも平気な回路を知りたいのだ!

動画の画面(「よろしくなのだ!負荷をつないでも平気な回路を知りたいのだ!」の場面)
図 4

23通りのつなぎ方

四国めたん

入力はゲートかソース、出力はドレインかソース。組み合わせは3通りよ。

動画の画面(「入力はゲートかソース、出力はドレインかソース。組み合わせは3通りよ。」の場面)
図 5

四国めたん

ゲートに入れてドレインから出すのが、これまでのソース接地ね。

四国めたん:ゲートに入れてソースから出すのが、ドレイン接地。ソースフォロワとも呼ぶわ。

動画の画面(「ゲートに入れてソースから出すのが、ドレイン接地。ソースフォロワとも呼ぶわ。」の場面)
図 6

四国めたん

ソースに入れてドレインから出すのが、ゲート接地よ。

動画の画面(「ソースに入れてドレインから出すのが、ゲート接地よ。」の場面)
図 7

四国めたん

「接地」は、残った端子が小信号でグラウンドにつながる、という意味なの。

ずんだもん質問

ドレインに入れる回路は無いのだ?

動画の画面(「ドレインに入れる回路は無いのだ?」の場面)
図 8

四国めたん

飽和領域では、ドレインの電圧を変えても電流はほとんど変わらない。だから入力には向かないの。

3ソースフォロワ:大信号特性

四国めたん

まずソースフォロワ。ドレインはVDD、ソースから電流源で電流を引き抜くの。

四国めたん:VDD=1.8 V、電流源はI0=0.1 mA。第4回のカレントミラーで作れるわね。

動画の画面(「VDD=1.8V、電流源はI0=0.1mA。第4回のカレントミラーで作れるわね。」の場面)
図 9

四国めたん

ただし計算では理想電流源として、その出力抵抗は無限大にするわ。

動画の画面(「ただし計算では理想電流源として、その出力抵抗は無限大にするわ。」の場面)
図 10

四国めたん

電流が決まるから、VGSもほぼ決まる。だからVOUT=VIN−VGSね。

動画の画面(「電流が決まるから、VGSもほぼ決まる。だからVOUT=VIN−VGSね。」の場面)
図 11

ずんだもん

グラフにすると、VOUTがVINの少し下をついてくるのだ!

動画の画面(「グラフにすると、VOUTがVINの少し下をついてくるのだ!」の場面)
図 12

四国めたん

出力が入力に追従するから、フォロワ。VIN=1.2 VならVOUTは約0.42 Vよ。

動画の画面(「出力が入力に追従するから、フォロワ。VIN=1.2VならVOUTは約0.42Vよ。」の場面)
図 13

四国めたん

直流ではVGSの約0.78 Vだけ下がる。でも、変化はほぼそのまま伝わるの。

動画の画面(「直流ではVGSの約0.78Vだけ下がる。でも、変化はほぼそのまま伝わるの。」の場面)
図 14

ずんだもん質問

傾きは、ぴったり1なのだ?

四国めたん

グラフの傾きを測ると約0.83。1より少し小さいわ。小信号回路で理由を調べましょう。

4ソースフォロワ:小信号と利得(基板バイアス効果)

四国めたん

手順1。直流電源VDDは短絡、理想電流源は開放。VDDが短絡されるから、ドレインは小信号ではグラウンドね。

動画の画面(「手順1。直流電源VDDは短絡、理想電流源は開放。VDDが短絡されるから、ドレインは小信号ではグラウンドね。」の場面)
図 15

四国めたん

手順2。MOSFETを、小信号モデルに置き換えるわ。

動画の画面(「手順2。MOSFETを、小信号モデルに置き換えるわ。」の場面)
図 16

四国めたん

ゲートはvin、ソースはvout。だから、vgs=vin−voutね。

四国めたん:手順3。出力のKCL、gm(vin−vout)=vout/roを解くと、Av=vout/vin=gm/(gm+1/ro)。約0.99よ。

動画の画面(「手順3。出力のKCL、gm(vin−vout)=vout/roを解くと、Av=vout/vin=gm/(gm+1/ro)。約0.99よ。」の場面)
図 17

ずんだもん質問

グラフは0.83だったのだ。何が足りないのだ?

四国めたん

第2回の基板バイアス効果よ。基板はグラウンド、ソースはVOUTだから、VSB=VOUTね。

四国めたん:出力が上がるとVthも上がるから、同じ電流I0を流すのに必要なVGSが増える。だから、出力の上がり方が鈍るのよ。

動画の画面(「出力が上がるとVthも上がるから、同じ電流I0を流すのに必要なVGSが増える。だから、出力の上がり方が鈍るのよ。」の場面)
図 18

四国めたん

小信号では、gm·vgsと並べて、基板−ソース間の小信号電圧vbsに比例するgmb·vbsの電流源を足すの。基板はグラウンドだから、vbs=−voutね。

動画の画面(「小信号では、gm·vgsと並べて、基板−ソース間の小信号電圧vbsに比例するgmb·vbsの電流源を足すの。基板はグラウンドだから、vbs=−voutね。」の場面)
図 19

四国めたん

gmbは基板の相互コンダクタンス。gmは約0.66 mA/V、gmbはその約2割よ。

動画の画面(「gmbは基板の相互コンダクタンス。gmは約0.66mA/V、gmbはその約2割よ。」の場面)
図 20

四国めたん

Av=gm/(gm+gmb+1/ro)。gmbの分下がって約0.83、グラフと合うわ。

動画の画面(「Av=gm/(gm+gmb+1/ro)。gmbの分下がって約0.83、グラフと合うわ。」の場面)
図 21

四国めたん

基板をソースにつなげば約0.99に戻るわ。でも普通のNMOSは、チップ全体で基板が共通で、グラウンドにつながっているの。

ずんだもん

第2回の基板バイアス効果が、ここで効いてくるのだ!

動画の画面(「第2回の基板バイアス効果が、ここで効いてくるのだ!」の場面)
図 22

5ソースフォロワの出力抵抗

ずんだもん質問

でも、利得が1より小さいなら、何に使うのだ?

動画の画面(「でも、利得が1より小さいなら、何に使うのだ?」の場面)
図 23

四国めたん

カギは出力抵抗よ。出力にテスト電源vxをつないで、流れ込む電流ixを求めましょう。

動画の画面(「カギは出力抵抗よ。出力にテスト電源vxをつないで、流れ込む電流ixを求めましょう。」の場面)
図 24

四国めたん

入力の小信号は0にするわ。ゲートも基板もグラウンド、ソースはvxだから、vgsもvbsも−vxになるの。

四国めたん:2つの電流源とroの電流を足すと、ix=(gm+gmb+1/ro)vx。電流がvxに比例して、係数はさっきの利得の分母と同じよ。

動画の画面(「2つの電流源とroの電流を足すと、ix=(gm+gmb+1/ro)vx。電流がvxに比例して、係数はさっきの利得の分母と同じよ。」の場面)
図 25

ずんだもん

電流源なのに、抵抗みたいにふるまうのだ!

動画の画面(「電流源なのに、抵抗みたいにふるまうのだ!」の場面)
図 26

四国めたん

そう。出力抵抗はその逆数で、基板効果まで入れて約1.3 kΩよ。

動画の画面(「そう。出力抵抗はその逆数で、基板効果まで入れて約1.3kΩよ。」の場面)
図 27

四国めたん

gmbとroを省くと、およそ1/gmで約1.5 kΩ。これが簡単な目安ね。

四国めたん:第3回のソース接地の出力抵抗、約4.6 kΩより、ずっと小さいわね。

動画の画面(「第3回のソース接地の出力抵抗、約4.6kΩより、ずっと小さいわね。」の場面)
図 28

6バッファとしての役割

ずんだもん質問

出力抵抗が小さいと、何がうれしいのだ?

動画の画面(「出力抵抗が小さいと、何がうれしいのだ?」の場面)
図 29

四国めたん

増幅回路の出力は、小信号では、Av·vinの電圧源とRoutの直列で表せるわ。回路理論のテブナン等価回路ね。

動画の画面(「増幅回路の出力は、小信号では、Av·vinの電圧源とRoutの直列で表せるわ。回路理論のテブナン等価回路ね。」の場面)
図 30

四国めたん

直流は流さず信号だけが流れる負荷RL(コンデンサで結合した負荷など)をつなぐと、出力はRoutとRLで分圧されるの。

動画の画面(「直流は流さず信号だけが流れる負荷RL(コンデンサで結合した負荷など)をつなぐと、出力はRoutとRLで分圧されるの。」の場面)
図 31

四国めたん

第4回の能動負荷の回路は、Av約−35、Rout約54 kΩ。RL=10 kΩをつなぐと…

動画の画面(「第4回の能動負荷の回路は、Av約−35、Rout約54kΩ。RL=10kΩをつなぐと…」の場面)
図 32

ずんだもん

−35×10/(54+10)で、利得が約−5.5まで下がったのだ!ボクの実験と同じなのだ。

四国めたん

そこで、間にソースフォロワを入れるの。ゲートに電流は流れないから、前の段は約−35のままよ。

動画の画面(「そこで、間にソースフォロワを入れるの。ゲートに電流は流れないから、前の段は約−35のままよ。」の場面)
図 33

四国めたん

ただし、段の間の直流の電位はそろえてあるとして、小信号だけを見るわ。

四国めたん:前の段の出力の直流は約0.9 V。そのまま直結するとフォロワの出力は約0.17 Vになり、電流源が飽和を保つのに必要な約0.3 Vに足りないのよ。

四国めたん:フォロワの出力抵抗は約1.3 kΩ。−35×0.83×10/(1.3+10)で、全体で約−26よ。

動画の画面(「フォロワの出力抵抗は約1.3kΩ。−35×0.83×10/(1.3+10)で、全体で約−26よ。」の場面)
図 34

四国めたん

こうして間に入って負荷を動かす回路を、バッファと呼ぶの。フォロワの大事な役目よ。

7ゲート接地

四国めたん

3つ目はゲート接地。第3回のソース接地と、同じ素子・同じバイアスで比べるわ。

動画の画面(「3つ目はゲート接地。第3回のソース接地と、同じ素子・同じバイアスで比べるわ。」の場面)
図 35

四国めたん

ゲートは直流0.8 Vに固定。入力vinはソースに入れて、出力はドレインからとるの。

四国めたん:ソースの直流は0 V。だから動作点は第3回と同じで、VOUTは約0.92 Vよ。

ずんだもん質問

ソースの電圧を上げると、出力はどうなるのだ?

四国めたん

VGSと電流が減るから、VOUTは上がるの。ソース接地と逆で、入力と同じ向きね。

動画の画面(「VGSと電流が減るから、VOUTは上がるの。ソース接地と逆で、入力と同じ向きね。」の場面)
図 36

四国めたん

小信号ではvgs=−vin。基板バイアス効果とroを無視すると、Av=+gm·RDになるわ。

動画の画面(「小信号ではvgs=−vin。基板バイアス効果とroを無視すると、Av=+gm·RDになるわ。」の場面)
図 37

四国めたん

ここでもソースが動くので、gmbが効くの。vbsもvgsと同じ−vinだから、今度はgmに足されて利得を上げるのよ。

動画の画面(「ここでもソースが動くので、gmbが効くの。vbsもvgsと同じ−vinだから、今度はgmに足されて利得を上げるのよ。」の場面)
図 38

四国めたん

roも入れると、Av=(gm+gmb+1/ro)(RD∥ro)。約+5.1よ。

動画の画面(「roも入れると、Av=(gm+gmb+1/ro)(RD∥ro)。約+5.1よ。」の場面)
図 39

ずんだもん質問

ソースに入れると、入力に電流が流れ込むのだ?

動画の画面(「ソースに入れると、入力に電流が流れ込むのだ?」の場面)
図 40

四国めたん

ええ。入力抵抗はRin≈1/(gm+gmb)、約1 kΩ。フォロワの出力抵抗と同じ形ね。

四国めたん:入力抵抗が小さいから、電流として入ってくる信号を受け取るのが得意なの。

動画の画面(「入力抵抗が小さいから、電流として入ってくる信号を受け取るのが得意なの。」の場面)
図 41

四国めたん

入力を理想電圧源でつなぐと、出力抵抗はソース接地と同じRD∥ro、約4.6 kΩよ。

動画の画面(「入力を理想電圧源でつなぐと、出力抵抗はソース接地と同じRD∥ro、約4.6kΩよ。」の場面)
図 42

83つの基本増幅回路の比較

四国めたん

3つを表にまとめましょう。roとgmbを省いた、目安の式よ。

動画の画面(「3つを表にまとめましょう。roとgmbを省いた、目安の式よ。」の場面)
図 43

四国めたん

利得は、ソース接地が−gm·RD、ゲート接地が+gm·RD、ソースフォロワが約1。

四国めたん:入力抵抗は、ゲートに入れる2つが無限大。ゲート接地だけが約1/gmね。

四国めたん:出力抵抗は、ドレインから出す2つがRD。ソースフォロワは約1/gmよ。

動画の画面(「出力抵抗は、ドレインから出す2つがRD。ソースフォロワは約1/gmよ。」の場面)
図 44

ずんだもん

ソースが入力か出力になると、1/gmが出てくるのだ!

動画の画面(「ソースが入力か出力になると、1/gmが出てくるのだ!」の場面)
図 45

四国めたん

そう。ソースから見ると小さく約1/gm、ドレインから見ると大きい。これがコツよ。

動画の画面(「そう。ソースから見ると小さく約1/gm、ドレインから見ると大きい。これがコツよ。」の場面)
図 46

四国めたん

ただし、どれもほかの端子に何がつながるかで変わる目安よ。次回はそこがカギになるの。

動画の画面(「ただし、どれもほかの端子に何がつながるかで変わる目安よ。次回はそこがカギになるの。」の場面)
図 47

9まとめ

四国めたん

まとめましょう。ソースフォロワは、利得約1、出力抵抗約1/gmのバッファよ。

動画の画面(「まとめましょう。ソースフォロワは、利得約1、出力抵抗約1/gmのバッファよ。」の場面)
図 48

四国めたん

基板バイアス効果で、利得は1より少し下がるの。

ずんだもん

ゲート接地は、入力抵抗が約1/gm、利得は約+gm·RDなのだ!

動画の画面(「ゲート接地は、入力抵抗が約1/gm、利得は約+gm·RDなのだ!」の場面)
図 49

ずんだもん

負荷で利得が下がる理由と、バッファの使い方をレポートに書けるのだ!

四国めたん

次回はカスコード。ソース接地の上にゲート接地を積んで、出力抵抗を大きくしましょう。

動画の画面(「次回はカスコード。ソース接地の上にゲート接地を積んで、出力抵抗を大きくしましょう。」の場面)
図 50

ずんだもん

最後まで読んでくれてありがとうなのだ!