ずんだもんと学ぶアナログ回路

第9回

雑音の基礎:小さな信号は何に埋もれる?

小さなセンサ信号が雑音に埋もれる困りごとから、平均とRMS、熱雑音のPSD、密度の平方根、帯域内の雑音、等価雑音帯域、独立な雑音の二乗和、MOSFETの熱雑音と1/f雑音、入力換算雑音、SNRを学びます。

第8回の帯域の知識を使い、次回の周波数特性(MOSFETの容量とミラー効果)へつなぎます。

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  • 四国めたん(解説)
  • ずんだもん(質問)

1導入:小さな信号が揺らぎに埋もれる

ずんだもん

小さなセンサ信号が、波形の揺らぎに埋もれるのだ!測定の課題がピンチなのだ!

動画の画面(「小さなセンサ信号が、波形の揺らぎに埋もれるのだ!測定の課題がピンチなのだ!」の場面)
図 1

四国めたん

前回はオペアンプで、10倍の増幅回路と、その帯域を見たわね。今回は帯域と雑音の関係よ。

ずんだもん

増幅すれば、信号だけ大きくなって見えると思っていたのだ。

動画の画面(「増幅すれば、信号だけ大きくなって見えると思っていたのだ。」の場面)
図 2

2外来の妨害と部品自身の雑音

四国めたん

雑音はランダムな揺らぎ。信号の変化と区別しにくく、測定の限界になるの。

動画の画面(「雑音はランダムな揺らぎ。信号の変化と区別しにくく、測定の限界になるの。」の場面)
図 3

四国めたん

外から入る電源のハムや電磁的な妨害と、部品自身が作る雑音は分けて考えるわ。

動画の画面(「外から入る電源のハムや電磁的な妨害と、部品自身が作る雑音は分けて考えるわ。」の場面)
図 4

ずんだもん質問

外からの妨害を防いでも、部品の中から雑音が出るのだ?

四国めたん

ええ。抵抗の中の電荷が熱で動くので、電流を流していなくても熱雑音があるの。

動画の画面(「ええ。抵抗の中の電荷が熱で動くので、電流を流していなくても熱雑音があるの。」の場面)
図 5

四国めたん

差動対は同相の妨害を抑えるけれど、独立な内部雑音まで消してはくれないわ。

動画の画面(「差動対は同相の妨害を抑えるけれど、独立な内部雑音まで消してはくれないわ。」の場面)
図 6

3平均とRMS

ずんだもん質問

正と負に揺れるなら、平均すれば0になって消えるのだ?

動画の画面(「正と負に揺れるなら、平均すれば0になって消えるのだ?」の場面)
図 7

四国めたん

平均が0でも、揺らぎの大きさは残るの。有限時間の平均も、毎回同じではないわ。

四国めたん:大きさは実効値、RMSで表すわ。電圧を2乗して平均したものが分散、その平方根がRMSよ。

動画の画面(「大きさは実効値、RMSで表すわ。電圧を2乗して平均したものが分散、その平方根がRMSよ。」の場面)
図 8

ずんだもん

2乗するから、正負で打ち消されないのだ!

4PSD・熱雑音・密度の平方根

四国めたん

周波数ごとの雑音は、電圧の2乗の密度Svで見るの。単位はV²/Hzよ。

動画の画面(「周波数ごとの雑音は、電圧の2乗の密度Svで見るの。単位はV²/Hzよ。」の場面)
図 9

四国めたん

今回は正の周波数だけで表す、一側の密度を使うわ。式の係数はこの流儀で決まるの。

四国めたん:低い周波数の抵抗の熱雑音は、密度がほぼ一定。これを白色雑音と呼ぶの。

四国めたん:抵抗の開放端の電圧雑音はSv=4kTR。Tは絶対温度、kはボルツマン定数よ。

動画の画面(「抵抗の開放端の電圧雑音はSv=4kTR。Tは絶対温度、kはボルツマン定数よ。」の場面)
図 10

ずんだもん質問

抵抗が大きいほど、電圧の雑音も大きくなるのだ?

四国めたん

この開放端の電圧雑音では、そうよ。回路につないだ後は伝わり方も計算するの。

四国めたん:仕様表では、その平方根enをよく使うわ。単位はV/√Hzね。

動画の画面(「仕様表では、その平方根enをよく使うわ。単位はV/√Hzね。」の場面)
図 11

ずんだもん

nV/√Hzと書いてあっても、そのまま波形の電圧ではないのだ!

5帯域内の雑音を計算する

四国めたん

見ている周波数範囲で、Svを積分するの。その面積が雑音の分散になるわ。

動画の画面(「見ている周波数範囲で、Svを積分するの。その面積が雑音の分散になるわ。」の場面)
図 12

四国めたん

面積の平方根を取ると、雑音の実効値。密度と電圧の大きさを区別してね。

動画の画面(「面積の平方根を取ると、雑音の実効値。密度と電圧の大きさを区別してね。」の場面)
図 13

四国めたん

白色雑音と幅Bの矩形帯域なら、実効値はen√B=√(4kTRB)よ。

動画の画面(「白色雑音と幅Bの矩形帯域なら、実効値はen√B=√(4kTRB)よ。」の場面)
図 14

四国めたん

温度300K、抵抗10 kΩ、帯域20kHzで計算しましょう。

動画の画面(「温度300K、抵抗10kΩ、帯域20kHzで計算しましょう。」の場面)
図 15

四国めたん

密度の平方根は約12.9nV/√Hz。これはまだ実効電圧ではないの。

動画の画面(「密度の平方根は約12.9nV/√Hz。これはまだ実効電圧ではないの。」の場面)
図 16

ずんだもん

20kHzの範囲を足すと、雑音は約1.82µV RMSになるのだ!

動画の画面(「20kHzの範囲を足すと、雑音は約1.82µV RMSになるのだ!」の場面)
図 17

四国めたん

抵抗を4倍にすると、実効値は2倍。約3.64µVになるわ。

動画の画面(「抵抗を4倍にすると、実効値は2倍。約3.64µVになるわ。」の場面)
図 18

四国めたん

抵抗はそのままで帯域を4倍にしても、雑音は2倍になるの。

動画の画面(「抵抗はそのままで帯域を4倍にしても、雑音は2倍になるの。」の場面)
図 19

ずんだもん

必要以上に広い帯域は、余分な雑音まで通すのだ!

6等価雑音帯域

四国めたん

実際のフィルタは、矩形ではないわ。雑音の密度に、フィルタの伝達関数の大きさの2乗を掛けて積分するの。

動画の画面(「実際のフィルタは、矩形ではないわ。雑音の密度に、フィルタの伝達関数の大きさの2乗を掛けて積分するの。」の場面)
図 20

四国めたん

同じ雑音の面積になる矩形の幅を、等価雑音帯域と呼ぶわ。

四国めたん:1段のRC低域フィルタでは、等価雑音帯域は−3dB帯域の約1.57倍ね。

動画の画面(「1段のRC低域フィルタでは、等価雑音帯域は−3dB帯域の約1.57倍ね。」の場面)
図 21

ずんだもん

前回の−3dB帯域を、そのままBに入れないようにするのだ。

7独立な雑音と二乗和

四国めたん

独立な雑音源を足すときは、実効電圧ではなく、分散を足すの。

動画の画面(「独立な雑音源を足すときは、実効電圧ではなく、分散を足すの。」の場面)
図 22

四国めたん

同じ場所と帯域へ換算して、実効値を2乗し、足してから平方根を取るわ。

動画の画面(「同じ場所と帯域へ換算して、実効値を2乗し、足してから平方根を取るわ。」の場面)
図 23

ずんだもん

1.82µVが2つなら、合計は約2.57µV。3.64µVではないのだ!

動画の画面(「1.82µVが2つなら、合計は約2.57µV。3.64µVではないのだ!」の場面)
図 24

四国めたん

相関があると交差項も必要よ。同じ揺らぎを2回数えないでね。

動画の画面(「相関があると交差項も必要よ。同じ揺らぎを2回数えないでね。」の場面)
図 25

8MOSFETの熱雑音と1/f雑音

四国めたん

MOSFETも熱雑音を作るわ。チャネルの電流雑音を、小信号モデルに加えるの。

動画の画面(「MOSFETも熱雑音を作るわ。チャネルの電流雑音を、小信号モデルに加えるの。」の場面)
図 26

四国めたん

長チャネルの強反転近似では、ゲート入力に換算した熱雑音PSDは4kTγ/gm。γは2/3程度の係数よ。

動画の画面(「長チャネルの強反転近似では、ゲート入力に換算した熱雑音PSDは4kTγ/gm。γは2/3程度の係数よ。」の場面)
図 27

四国めたん

この近似ではgmを大きくすると、入力換算の熱雑音が減るの。

動画の画面(「この近似ではgmを大きくすると、入力換算の熱雑音が減るの。」の場面)
図 28

四国めたん

γや他の雑音源は素子や動作点で変わるわ。実デバイスはモデルや測定で確認ね。

四国めたん:低い周波数では、1/f雑音も目立つの。PSDが、およそ周波数に反比例するわ。

動画の画面(「低い周波数では、1/f雑音も目立つの。PSDが、およそ周波数に反比例するわ。」の場面)
図 29

ずんだもん

平方根の密度なら、1/√fで下がるのだ。グラフの単位も見るのだ!

動画の画面(「平方根の密度なら、1/√fで下がるのだ。グラフの単位も見るのだ!」の場面)
図 30

四国めたん

白色雑音と1/f雑音が等しくなる周波数が、雑音のコーナー周波数ね。

動画の画面(「白色雑音と1/f雑音が等しくなる周波数が、雑音のコーナー周波数ね。」の場面)
図 31

四国めたん

1/f雑音の計算には、下限の周波数も必要。観測時間やフィルタの条件を見るの。

動画の画面(「1/f雑音の計算には、下限の周波数も必要。観測時間やフィルタの条件を見るの。」の場面)
図 32

9入力換算雑音とSNR

四国めたん

増幅器の出力雑音を、利得の大きさで割ると入力換算雑音。比較しやすくなるわ。

動画の画面(「増幅器の出力雑音を、利得の大きさで割ると入力換算雑音。比較しやすくなるわ。」の場面)
図 33

四国めたん

今回は帯域内の利得が一定の場合。周波数で変わるなら、周波数ごとに密度を利得で割って換算するの。

ずんだもん質問

利得が100倍の増幅器なら、入力の雑音も100倍になって出てくるのだ?

動画の画面(「利得が100倍の増幅器なら、入力の雑音も100倍になって出てくるのだ?」の場面)
図 34

四国めたん

そうよ。1.82µVが約182µVに。信号も雑音も一緒に大きくなるの。

動画の画面(「そうよ。1.82µVが約182µVに。信号も雑音も一緒に大きくなるの。」の場面)
図 35

四国めたん

SNRは信号と雑音の比。電圧の実効値の比なら、20log10を取ってdBにするわ。

動画の画面(「SNRは信号と雑音の比。電圧の実効値の比なら、20log10を取ってdBにするわ。」の場面)
図 36

四国めたん

信号10µV RMS、雑音1.82µV RMSなら、SNRは約14.8dBね。

動画の画面(「信号10µV RMS、雑音1.82µV RMSなら、SNRは約14.8dBね。」の場面)
図 37

ずんだもん

両方100倍なら、比は同じ。増幅するだけではSNRは良くならないのだ!

動画の画面(「両方100倍なら、比は同じ。増幅するだけではSNRは良くならないのだ!」の場面)
図 38

四国めたん

実際の増幅器は自分の雑音も加えるわ。入力換算して、独立なら分散を足すの。

動画の画面(「実際の増幅器は自分の雑音も加えるわ。入力換算して、独立なら分散を足すの。」の場面)
図 39

四国めたん

信号源、抵抗、増幅器。それぞれの雑音が、どこからどう伝わるか整理しましょう。

動画の画面(「信号源、抵抗、増幅器。それぞれの雑音が、どこからどう伝わるか整理しましょう。」の場面)
図 40

ずんだもん

必要な帯域に絞り、抵抗と素子を選ぶ。信号を失わない条件も確認するのだ!

動画の画面(「必要な帯域に絞り、抵抗と素子を選ぶ。信号を失わない条件も確認するのだ!」の場面)
図 41

10まとめ

四国めたん

密度を積分して分散、その平方根が雑音の実効値よ。

動画の画面(「密度を積分して分散、その平方根が雑音の実効値よ。」の場面)
図 42

ずんだもん

独立な雑音は2乗して足す。換算する場所と、帯域をそろえるのだ!

ずんだもん:利得だけじゃなく、雑音の大きさとSNRも書けば、測定のレポートが完成なのだ!

四国めたん

次回は周波数特性。MOSFETの中の容量と、ミラー効果を見ていきましょう。

ずんだもん

最後まで読んでくれてありがとうなのだ!